「今の制作会社に依頼できなくなったから、別の会社に改修をお願いしたい」
「リニューアルまではしないけど、ちょっとした修正だけ他社に頼みたい」
こういったご相談は珍しくありません。
しかし実は、他社が制作したホームページをそのまま改修するというのは、
思われている以上にハードルが高いケースがあります。
その理由は、
- 契約内容
- 著作権・データ所有権
- 技術的な制約
- ドメイン・サーバーの名義
といった複数の要素が絡むからです。
この記事では、制作会社を変更したい/他社制作のサイトを修正したい時に、
事前に知っておきたいポイントを整理して解説します。
[ 目次 ]
他社へ管理や修正を依頼したいケースは意外と多い
お客様からよく聞くのは、こんな理由です。
- 制作会社の対応が遅い
- 元の制作会社に頼めなくなった(事業をやめた)
- 小さな修正なのに費用が高すぎる
- 担当者が辞めてしまい、コミュニケーションが難しくなった
- リニューアルまでは不要だけど、少し変えたい部分がある
そして
「ホームページって、どこでも直してもらえるよね?」
と思っている方も多いです。
たしかに「技術的には」可能な場合も多いですが、
「誰でも触っていいとは限らない」のが現実です。
これは一体どういうことなのか、これから説明していきます。
他社へ依頼する前に必ず確認すべき5つのポイント
①契約内容(改修が許可されているか)
制作会社によっては契約書に
「第三者の改修を禁止する」 という条項が含まれている場合があります。
特に以下のタイプは要注意です。
- パッケージ型・独自CMS
- 月額リース型のホームページ
- 「著作権は制作会社が保有」と明記されている契約
ここがNGだと、他社が触ること自体が契約違反 になります。
②データの所有権
- ソースコード
- 画像データ
- テキスト
- デザインデータ(Figma / Illustrator など)
これらの所有者が誰なのか(自社or制作会社)によって、他社が扱えるデータの範囲が変わります。
納品物として「完全に自社のもの」になっているケースは、実はそんなに多くありません。
③ 著作権の扱い
ホームページの著作権の基本ルールは、
- 原則:制作した会社に著作権がある
- 例外:契約で譲渡されている場合
著作権が残ったまま他社が修正すると、「著作者人格権の侵害」に該当するリスクがあります。
実際に「他社で修正したら元の制作会社に怒られた」というケースは珍しくありません。
④ ドメイン・サーバー名義
もし名義が制作会社のままなら、
- データが引き出せない
- メールが使えなくなる
- 移管許可がおりない
という問題が発生します。
管理会社を変更したい時、最もトラブルにつながるポイントのひとつです。
↓この部分は以下の記事で詳しく解説していますので、参考にどうぞ。
ドメイン・サーバー契約は誰の名義にするべき? 自社所有をおすすめする理由
「制作会社を変えたいけれど、ドメインやサーバーをどう扱えばいいかわからない…」「そもそも、うちのホームページって誰が…
続きを読む⑤ CMS・テーマ・コードの仕様(技術的な制約)
技術的に他社が触れないパターンもあります。
よくあるのは
- 独自CMSで制作されている(制作会社側で開発したシステム)
- 他社独自テーマを使用している(仕様が非公開)
- 過度に複雑なテーマ構造
- カスタムプラグインがブラックボックス状態
- コードが整理されていない(修正すると全体が壊れる)
つまり、触れるようで触れないこともあります。
ここに関しては、お客様が事前に把握されていないことがほとんどです。
実際に中身を確認してみてから、「これは簡単には触れない構造ですね…」となるケースもあります。
なぜ「他社改修」はトラブルが起きやすいのか?
理由はシンプルに3つです。
① 他人の書いたコードは壊れやすい
設計・ルールは、作り手によって異なります。
その部分をきちんと把握して修正しないと、ちょっとした修正で表示が崩れたり、不具合が起きたりすることも普通にあります。
そのため、他社で制作したホームページ修正はかなり慎重に扱わないと危険なのです。
② 修正の責任範囲が曖昧になる
ホームページを制作した会社と修正する会社が同一であれば、
なぜ・どこが原因で不具合が発生したのか予想もつきやすいです。
また、不具合が起きても責任をもって対処してもらえます。
ただ、ここが別々の会社になると「前からあった不具合」なのか、
「今回の修正で起きたもの」なのか判別が難しくなるので、
責任のなすりあいになってしまうことも考えられます。
③ コストが上がりやすい
別の会社で制作したホームページを改修する場合は、大きな不具合を起こさないよう、
まず全体構造を把握するための事前調査が必要になります。
調査 → 全体構造の把握 → 修正 → 動作チェック
そのため、この「調査」にかかる工数がどうしても大きくなり、その分コストも上がりがちです。
他社の手直しより「リニューアル」が合理的になる理由
✔ 責任の所在が明確になる
構造をゼロから作るため、万が一の不具合も、責任をもって新たな制作者側で対応できます。
また、余計なトラブルも激減します。
✔ 既存のホームページの「不安材料」を引き継がずに済む
改修していると、実際にご依頼いただいた箇所以外にも見直した方が良い部分が出てきます。
古いテーマ・古いプラグイン(WordPress)を使用していると、
セキュリティや互換性の問題が不安材料になることもあります。
アップデートで不具合が起きる場合もあります。
また、Webは常に進化しているため、古いコードが現在は非推奨になっている場合もあります。
すぐに問題が起きるとは限りませんが、運用していくには不安が残ります。
この部分は、改修だけではどうしても限界が出てきます。
リニューアルすることで、これらの不安材料を一掃・最適化でき、
安心して運用していくことができます。
✔ 運用コストを見直せる
リニューアルは設計から作り直すため、
自社の現在の状況に合わせて運用コストまで見直すことができます。
- 更新しやすい設計
- セキュリティの最適化
- 過剰なプラグインの削減
- 自社で更新できる仕様に組み替え(更新依頼費用が不要に)
など、長期的に運用コストを削減できるケースは多いです。
✔ 今後のトラブルを避けられる
改修を他の会社へ依頼したとしても、しっかりと引継ぎができていない場合
その後も元々制作した会社とのやり取りが発生する可能性はあります。
元々制作した会社からすると、他社の改修が入った時点で責任の所在が曖昧になります。
そのため、本来であれば対応してもらえたはずの部分も、対応してもらえなくなる可能性も…。
そうなると、そのたびに制作会社同士・依頼者間でのやり取りで揉める可能性もあります。
こういったトラブル要因が複数重なっている場合は、無理に部分改修を続けるよりも、
リニューアルした方が結果的に安心でスムーズに進むことが多いです。
まとめ:安全に制作会社を変更したいなら、まず確認
制作会社を変更・他社で改修する際は、以下を必ずチェックしましょう。
- 契約内容の制限
- 著作権の扱い
- データの所有者
- ドメイン・サーバーの名義
- CMS仕様(技術的制約)
これらの条件が曖昧なまま他社改修を進めると、
責任の所在や技術的な問題が後から浮き上がることがあります。
その場合は、リニューアルの方が技術的にも管理面でも安心して運用できる選択肢になります。
お困りの際は、ご相談も承っております
制作会社の変更や、他社が制作したホームページの改修は、
契約・著作権・技術の3つが絡むため、想像以上に判断が難しい領域です。
そして、判断を誤ると
「移管できない」「契約違反になる」「思わぬ追加費用が発生する」
といったトラブルにつながることも少なくありません。
もし、
- 今の制作会社から乗り換えたい
- 他社制作のサイトを安全に改修できる状況か知りたい
- 契約内容や著作権まわりが不安
- そもそも何を確認すればいいのかわからない
という状況であれば、一度専門家に相談しておくと安心です。
C3 Design.では、現状の契約・データ状況・技術的な仕様を踏まえて、
「何ができて、何がリスクなのか」
「改修で進めるべきか、リニューアルの方が安全か」
といった判断材料を第三者視点で整理します。
※契約・著作権など法律的なご相談は承っておりません。
依頼前に不安を抱えたまま進めるよりも、
一度状況をクリアにしてから動いた方が、結果的にムダなく・安全に進められます。
C3 Design.では、現状のホームページの診断・改善アドバイスも行っています。
誰に相談すればよいかわからない、運用面や更新に関するご質問も可能です。