ホームページや印刷物の制作を依頼する際に、「二次利用」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。今回は二次利用に関するトラブルについて書いてみようと思います。
そもそも二次利用って何?
二次利用とは、ある目的で作られた著作物(デザイン、イラスト等)を、他の用途・目的で利用することです。
例えば、ホームページ掲載用にイラストを作成したとします。
それをチラシでも使いたい場合、二次利用となります。
また、ホームページ制作会社Aが制作したイラストやデザインを流用して、制作会社Bがチラシを作る場合も二次利用になります。
※この場合、著作者が別の人になるので著作権も絡んできます。
著作権については、以下にも書いていますのでよろしければ…
二次利用についての扱いは、度々トラブルになることがあるので注意が必要です。
基本的には契約書に記載されていることが多いので、契約前にしっかり読んでおくことをおすすめします。
よくある二次利用トラブル①:勝手に使っちゃう!?
例えば「制作者の知らぬ間に、勝手に変化を遂げていた」などがあります。
制作したホームページが、後日制作者の知らないところで勝手に改変されてチラシ版になっていた!というのは、めずらしくない話です。
制作者として、とても悲しい気持ちになるのはわかります…。
せめて、利用する前に「使ってもいい?」と聞いてくださればよかったのですが…。
その後もそのデザインは、パンフレット、名刺など形を変えて、制作者の手を離れて世に生み出されていったそうです。
そもそも、なぜそんなことが起きたかというと…
- ホームページ制作時にしっかりと二次利用についての説明が出来ていなかった
- 「データをください」と言われて、何も思わず渡してしまった
これに尽きると思います。
もちろん勝手に二次利用するのはNGですが、制作者側にも非があるので難しい問題ですよね。
最近ではこのようなトラブルを防ぐためにも、制作データ(元データ)をお渡ししない制作会社が多いです。
データが必要な場合は、データの買取もありますので、状況に応じて相談してみてください。
よくある二次利用トラブル②:勝手に使っていいよ!
こちら、実際にあった私の話ですが…。
お客様からホームページの制作を依頼された時の事です。
「このデータ使って!デザインはこのままで!」と、チラシの元データをいただきました。
画像、チラシに使用しているイラストや、タイトルのデザインなどもそのままで…という指示だったので、念のため二次利用の許可をいただいているか確認してみました。
お客様「え?二次利用?うちが依頼して作ってもらったチラシだから、勝手に使っても大丈夫だと思いますよ。」
制作費を払ってチラシをデザインしてもらったのだから、そのデザイン(データ)は依頼者側のものになると誤解されている方も結構多いのですが…。実はそうではないんです。
依頼した際の契約内容にもよるので、後々トラブルになるのを防ぐためにも、二次利用する際は確認していただきたいところです。
まずは、チラシの二次利用の許可。
二次利用の場合は別途二次使用料が発生する場合があります。
二次使用料の相場は20%~80%程度と言われていますが、プロのイラストレーターが所属する日本イラストレーター協会では制作費の7割(話し合い可能)と定められています。
さらにチラシを制作する場合、チラシに使用している素材(画像)やイラストにも同じように著作権がありますので注意が必要です。
例えば、素材サイトの写真を使用している場合は、そのサイトの利用規約があるのでそちらの確認も必要になります。(使用用途によっては使用不可になる場合もあります)
基本的に制作物は作った人に帰属します。(著作権法26条、27条より)
そのため、依頼者側は二次利用する場合は制作者(著作者)の許可が必要となり、勝手に…はNGなのです。
自分のものにしたい場合は、譲渡契約を結ぶという方法もありますが、制作費用の2倍~と結構高額だったりします。
ちょっとややこしい話になってきましたが、要するに…
基本的にチラシの著作権は制作者にあるので、許可なく勝手に使用するのはNGという事になります。
結局どうするのが一番なんだろう…?
とはいえ、ホームページ、チラシ、パンフレットなど、デザインを統一させたい(同一デザインで展開したい)場合はよくあります。
それぞれがバラバラなデザインとなると、企業イメージもチグハグしてしまいます。
また、チラシと同じデザインでホームページに(その逆も然り)したくても、制作した会社がどちらも扱っているとも限りません。(印刷物デザインのみ、Web制作のみなど)
二次使用料も高額になる場合、「作り直したほうが…」となるケースもあります。
そうならない為には、まずは契約前に二次利用の場合の取り決めがどうなっているか確認しておくのが大事だと思います。
また、ホームページや印刷物など二次利用が想定されている場合は、どちらも制作可能な制作会社を選ぶ(依頼先(著作者)を統一させる)というのも手段の一つです。
同じ著作者であれば、二次使用料などの相談もできるかもしれません。
※もちろん制作会社ごとにルールは異なります。
C3 Design.の場合は、基本的には私が制作したデザインを私が流用する場合に限り二次使用料はいただいておりません。※C3 Design.ではホームページ、印刷物など幅広く扱っております。
例)チラシ(著作者:C3 Design.)→ホームページへ二次利用(著作者:C3 Design.)
依頼先を統一することで、お打ち合わせにかかる手間や時間、二次使用料などの制作コストを抑える事ができ、統一感のあるデザインを実現できるのは大きなメリットだと思います。
二次利用については、制作者はもちろんお客様にも知っておいていただくことで、トラブルを未然に防ぐ事ができると思い、書かせていただきました!